9月6日 音楽祭短評① (神山奈々)

9月6日、作曲ワークショップは2日目を迎え、集中力の高いレクチャーが終日続いています。また、それに答えるように真摯に向き合っている受講生には、同じ場所に集い学ぶ事の尊さを、未だ続くコロナ禍の中で改めて考えさせられています。

 午前中は二人の作曲家による「自作を語る」。一人目は、国際的に活躍するイタリアの作曲家フェデリコ・ガルデッラさん。最新作のオペラを映像で鑑賞し、原作小説をどのように読み解き作曲したかについて、その過程を詳細に伺うことが出来ました。二人目は、ロンドンを拠点にしているメキシコの作曲家イルダ・パレデスさん。作曲を始める時の最初のアイディアは何か、そしてその先に何があるか、というここにいる誰にとっても大切なテーマからスタートしました。そして、近作のオペラの制作についてもお話くださり、二人の作曲家それぞれの関心の違いや環境の差をとてもグローバルな視点で間近に感じることが出来ました。  午後には、サクソフォンの大石将紀さんによる、対話形式での楽器のレクチャー。リコーダーの鈴木俊哉さんには、貴重で有用な資料をたくさん頂きました。お二方とも実演を交えた、実践的な内容で大変刺激的な1日でした。

評者:神山奈々(第21回武生国際作曲ワークショップ アシスタント作曲家)
1986年、群馬県前橋市生まれ。東京音楽大学付属高校から作曲を専門的に学び、同大学卒業後、同大学院修士課程を修了。第79回日本音楽コンクール作曲部門第3位(2010)、2013年度武満徹作曲賞第3位。近作としては、オーケストラのための『きっと、またここで会えますように』(201年9、広島交響楽団)、ピティナ ピアノコンペティション特級新曲課題『沙羅の樹の 花開く夜に うぐいすは』(2020年)、オーケストラのための『Sky in the ocean』(2021年、トーンキュンストラーオーケストラ)、ヴァイオリンとチェロのための『翅と風媒花』(2022年、武生国際音楽祭初演予定)等。現在、東京音楽大学講師を務める。