9月4日 音楽祭短評(木下正道)

 少数精鋭のスタッフでステージやスケジュールなど、意見を出して検討して実行し、反省しながらを繰り返し、様々な準備を進めてきた武生国際音楽祭がついに開幕しました。今年の大目玉は約15年ぶりのアルディッティ弦楽四重奏団の登場ですが、イルダ・パレデスさんの極めて詩的で繊細な音楽を見事に彫琢していました。オープニングコンサートは各演奏家が「とびきりのネタ」を思いっきり楽しんで演奏してもらう会でもあるのですが、そこはやはり武生に来る演奏家のものは仕込みも入念で、一瞬たりとも気を抜くことのない、集中力の高い、音楽の喜びにあふれた演奏を存分に披露していただきました。初日からこのテンション、あと一週間ぞんぶんに楽しめそうです。

評者:木下正道(第21回武生国際作曲ワークショップ アシスタント作曲家)
1969年、福井県大野市生まれ。2013年からは「武生国際音楽祭・新しい地平」の運営アシスタントを務める。ここ数年は主に室内楽曲を中心として年間20曲程度を作曲、初演。現在は、様々な団体や個人からの委嘱や共同企画による作曲、優れた演奏家の協力のもとでの先鋭的な演奏会の企画、通常とは異なる方法で使用する電気機器による即興演奏、の三つの柱で活動を展開する。東京近辺で活動する現代音楽に関心を寄せる演奏家のほとんどがその作品を初演、再演している。