武生国際音楽祭2025サマーコンサート開催!

武生国際音楽祭2025のプレイベントとして、弦楽四重奏団クァルテット・インテグラの皆さんと大宅さおりさんによるサマーコンサートを開催いたします!武生国際音楽祭のエッセンスをお手軽に体験できるこの機会を、どうかお見逃しなく!

武生国際音楽祭2025サマーコンサート

日時:7月23日(水)
   開場/18:30 開演/19:00(20:45分頃終演予定)

会場:ハーモニーホールふくい 小ホール

料金:一般 1,000円
    高校生以下 無料*
    *高校生以下の方も、プレイガイドにて整理券をお求めください
    未就学児のご入場はご遠慮ください

演目:ハイドン『弦楽四重奏曲ロ短調 Op. 33-1』
   バルトーク『弦楽四重奏曲第2番』
   ベルク『抒情組曲』より第4、5楽章
   細川俊夫『エチュードI-2つの線―』
   ブラームス『ピアノ五重奏曲』より第2、3楽章

出演:クァルテット・インテグラ(弦楽四重奏団)
   大宅さおり(ピアノ)

プレイガイド:teket

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【2024レポート】作曲ワークショップ公開レッスン&遠足

武生国際音楽祭2024に参加中の作曲家・神山奈々さんに、作曲ワークショップの公開レッスンと遠足の模様をレポートしてもらいました。

公開レッスンと遠足について

作曲ワークショップでは、毎年公開レッスンを行っています。受講生の1作品に対して音源を聴き合い複数の講師からアドバイスを受け、それを受講生全員で楽譜を見ながら聴講します。公開レッスンでは、他の受講生が受けるアドバイスを客観的に聞くことで自分の作曲態度や習慣を見直すことが出来、大変有意義です。今年は6カ国、20歳から60歳まで17名の方に公開レッスンを受けていただきました。音楽祭期間中に書いた新作を自演してレッスンを受講する方もおり、活発な意見交換が繰り広げられる開かれた学びの場は作曲ワークショップの大きな柱となっています。

遠足では、武生にゆかりの深い大塩八幡宮を訪れ宮司さんのお話を伺い美しい自然の中、散策を楽しみました。オーディオテクニカ・フクイでは武生の方が創設された企業でその歴史を学び、音との関わり方について違った側面から考えさせられる内容となりました。

私のレポートはこれで終わりますが、また来年、皆様とここで会えることを心から楽しみにしております!音楽祭に関わった全ての皆様、ありがとうございました。

【2024レポート】モーニング名曲コンサート(9月8日)

武生国際音楽祭2024に参加中の作曲家・神山奈々さんに、9月8日に開催されたオープニングコンサートの模様をレポートしてもらいました。

9月8日(日)モーニング名曲コンサートは、フルートの上野由恵とギターのジェイコブ・ケラーマンによるピアソラ作曲「タンゴの歴史」より「売春宿1900」「カフェ1930」の演奏で始まりました。ピアソラはナディア・ブーランジェに師事するなどクラシックの素養を持ち合わせたタンゴの改革者ですが、そのような背景から再現性の高い楽譜が他のジャンルの演奏家に多くの演奏の機会を与えています。フルートとギターのアンサンブルでは、正確なリズムと音程で聴くエレガントなタンゴが印象的でした。

続く細川俊夫の「日本の歌」は親しまれている唱歌を中心に四季折々の12曲が詰め込まれた珠玉のギター編曲作品集。ケラーマンにより5曲が演奏されました。CDも発売されたばかりなので聴き比べが楽しみです。「2つの日本民謡」より「五木の子守唄」は、上野とケラーマンのデュオ。間合いを伺いながらの演奏は余裕のあるお二人ならではの名演でした。

モーツァルト作曲、アンダンテと変奏曲ト長調K.501はピアノの伊藤恵と北村朋幹の連弾。サロンで聴いているような細やかな表現を楽しみました。二人の物理的距離が近いからこそ生まれてくる即興的な駆け引きに耳が離せない演奏。ラフマニノフ作曲、2台ピアノのための組曲第2番Op.17は、打って変わって二台ピアノの編成です。2台ピアノでしか作れない同じ音域を重ねる重厚さがラフマニノフのハーモニーと相まって独自の音響を生み出している曲です。ピアノが2台になるとお二人の音色の似ている所と違う所を明確に聴くことが出来ました。息のあった素晴らしいアンサンブルは長年の信頼関係とコミュニケーションで作られている様子でした。 (神山奈々)

【2024レポート】ファイナルコンサート(9月8日)

武生国際音楽祭2024に参加中の作曲家・我妻英さんに、9月8日に開催されたファイナルコンサートの模様をレポートしてもらいました。

 演奏会の幕開けは、白井圭のヴァイオリンと上村文乃のチェロ、吉野直子のハープによるヘンデルの《ヴァイオリン・ソナタ イ長調 Op. 1-3 HWV361》。通常はチェンバロで演奏されることの多い通奏低音パート、今回は吉野のハープによって華麗な色彩を纏うこととなった。緩急自在な白井のヴァイオリンと阿吽の呼吸で支える上村のチェロは、たちまち聴衆を優雅な音楽世界へと惹き込んでいった。

 続いて、上野由恵のフルートでヴァレーズ作曲《密度21.5》。曲名は、委嘱者が初演で吹き初めした世界初の白金(プラチナ)製フルートの材質の密度に由来する。キーを打つ音などの奏法も駆使しフルート作品の歴史に革新的な一歩を残した名作を、上野は入魂の表現で魅了。空間を切り裂くような鋭い最高音さえも美しく、会場に深い余韻が広がった。

 ここで、急遽ジェイコブ・ケラーマンのギターによる演奏がサプライズ的におこなわれた。本音楽祭の音楽監督 細川俊夫がケラーマンのために2022年に編曲した《日本のうた》から「通りゃんせ」「赤とんぼ」など誰にも馴染みがある5曲を演奏。聴く者の郷愁を誘う、切なくも味わい深い至福のひとときとなった。

 後半は、武生国際音楽祭フェスティバル合唱団が登壇して、音楽祭に参加している世界的演奏家により編成された特別なオーケストラとの協演が繰り広げられた。指揮は、第1回ひろしま国際指揮者コンクールで優勝ならびに細川賞受賞の俊英で、前日の新しい地平コンサートⅢにて上野ケン作品の世界初演でも鮮やかなタクト捌きを魅せた大井駿。

 宗教改革記念日のためにバッハが書き下ろしたといわれる《カンタータ第80番「われらが神は堅き砦」BWV80》は、壮麗なニ長調のフーガで幕を開けた。その後のアリアやレチタティーヴォや二重唱では、イルゼ・エーレンス(ソプラノ)、小林あすき(アルト)、髙木太郎(テノール)、山下哲弘(バス)による独唱陣の美しくも力強い歌唱が聴衆の心に訴えかける。指揮者の大井はいくつかの曲でオルガンのパート(キーボードによる演奏)を兼任し、古賀裕子のチェンバロと併せて音楽を彩った。

 演奏会の最後は、モーツァルトが18歳で作曲した《ディクシットとマニフィカート ハ長調 K. 193》。今回は、作曲ワークショップアシスタントでもある作曲家 金井勇によるこの公演のための特別な編曲による演奏となる。作品は、ヴェスペレと呼ばれる夕方の礼拝(晩課)の次第の中から開始曲と終曲にのみ作曲されたもので、コンパクトな規模ながら神童モーツァルトの天性の筆致が存分に表れた内容である。金井の編曲は原曲に無いヴィオラやオーボエのパートを加え編成を拡張したもので、より一層豪奢な音響が実現。フェスティバル合唱団とオーケストラの輝かしい演奏に、会場は大いに盛り上がりを見せた。熱狂の中これにて閉幕となった武生国際音楽祭、来年への期待も大きく高まる。(我妻英)

【2024レポート】新しい地平コンサートI・II・III(9月6・7日)

武生国際音楽祭2024に参加中の作曲家・我妻英さんに、9月6・7日に開催された新しい地平コンサートI・II・IIIの模様をレポートしてもらいました。

 武生国際音楽祭の魅力は、第一線で国際的活躍を見せる演奏家たちによる古典のレパートリーの名演奏と併せて、〈いま〉の音楽の姿を伝える最新の作品が特集されることにもある。2日間、3公演にわたっておこなわれた「新しい地平コンサート」では、力の入った現在進行形の創作を全身で感じ取ることの出来る充実のプログラムが展開された。

 9月6日(金)の「新しい地平コンサートⅠ」は、世界初演を3曲含む濃密な内容となった。中でも印象的だったのは、三浦則子《遮断された橋の上で》での上村文乃(チェロ)と山本純子(ピアノ)の演奏に於ける極度の集中力。人々を繋ぐ橋、生者と死者の間を繋ぐ橋。それらの橋が遮断され失われた現代世界に満ち溢れる悲しみ、なおも橋を架けることへの願い。作品に託された重い問い掛けを、二人の演奏は緊張感の張り詰めた切実極まる表現で客席に届けた。

 翌日9月7日(土)の「新しい地平コンサートⅡ」は、多数の世界初演・日本初演を含め全8曲が一堂に会する重量級のプログラム。とりわけ本公演の白眉は、最後を飾った西村朗の《弦楽四重奏曲第5番〈シェーシャ(聖蛇)〉》であろう。奇しくも西村の命日から丁度1年後のこの日に、生前深い信頼関係で結ばれたアルディッティ弦楽四重奏団によってこの作品が演奏される巡り合わせに思いを馳せつつ、その生命力に満ちた音楽に全ての聴衆が固唾を呑んで聴き入った。

 続いての「新しい地平コンサートⅢ」では、今年の招聘作曲家 上野ケンによる新作の衝撃的な世界初演がまず特筆に値しよう。鈴木俊哉の卓越したリコーダー演奏を独奏に想定し映像や音声をも駆使した総合アート的な作品は、演奏会冒頭に置かれた上野ケンのヴォーカル・パフォーマンスと併せて、従来の音楽の概念を超越した稀有な試みとして会場の熱狂的な反応を招いた。後半は、再びアルディッティ弦楽四重奏団が登場し、塚本瑛子(世界初演)と坂田直樹の最新作を演奏。繊細にして豊饒な世界が立ち上がった。

 紙幅の都合で数々の素晴らしい作品と演奏に個々に触れられないのが残念だが、こうした現代の創作の生々しい息遣いを居合わせた聴衆の一人一人が各々の自由な感性で受け止める会場の熱い空気もまた、この音楽祭のかけがえのない財産であることを感じた。

 最後に、今回私はこれらの公演のリハーサル・スケジュールの作成を担当し終日舞台裏に立ち会ったが、本番に全神経を集中させる演奏家たちを細やかな気配りでサポートし演奏会の円滑な進行に貢献する、照明・音響から舞台転換に至るまでの現場の全てのスタッフの尽力に深い感銘を受けた。また、現代作品の演奏ではピアノの内部奏法も用いられるため、細心の調律や楽器の調整が不可欠である。こうしたプロフェッショナルな方々の精密な仕事があってこその演奏会の成功。心からの感謝を捧げずにはいられなかった。(我妻英)