【2024レポート】ピアノと弦楽の競演 (9月7日)

武生国際音楽祭2024に参加中の作曲家・金井勇さんに、9月7日 「ピアノと弦楽の競演」コンサートの模様をレポートしてもらいました。

9月7日(土)は伊藤恵プロデュースの第2弾「ピアノと弦楽の競演」コンサートが行われた。

1曲目はアルバン・ベルクの『クラリネットとピアノのための4つの小品』。それぞれ非常に短い小節からなるミニアチュールの作品。上田希のクラリネットと伊藤恵のピアノ。

第1楽章は上田のミステリアスな問いかけに、伊藤が明澄なピアノで答える。その連なりが刹那の火花を散らし、燃え上がる瞬間へと誘う。幻想的なピアノの中から静けさを湛えた「うた」が立ち昇る第2楽章。第3楽章ではおどけた表情の疾走の際で急激に落とすテンポの落差が劇的であり、スタッカートやフラッターツンゲといったテクニックが効果的に響く。第4楽章では深く沈む伊藤のピアノの中で、上田のスーパー・ピアニッシモが静寂を醸し出す。エンディングに向かう、両者の反復の強靭な響きの交錯が印象的であった。

2曲目はブラームスの『ピアノ五重奏曲目ヘ短調 作品34』。伊藤恵のピアノとクァルテット・インテグラの共演。

深淵で情熱的な第1楽章。煌めきを予感させるクァルテット・インテグラの一体化した響きが、伊藤の華やかさを湛えた揺るぎないピアノの身振りと重なり合い、音楽の織り成す一瞬の光が浮かび上がる。情熱から一転した第2楽章は静かな抒情。ピアノの柔らかい旋律を弦が穏やかに包み込む。第3楽章は勇壮な主題で前進するスケルツォ。静寂との対比による交代劇。ピアノと弦楽の毅然とした音調が雄大に響き渡る。そして緊張と弛緩が交差する第4楽章。深く陰鬱に沈み込むピアノと、そこから立ち現れ飽和する弦楽。変転してユニゾンで情動的に立ち上がる瞬間との交融。その対比の妙が圧巻であった。

後半はメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲。瑞々しく立ち上がる軽やかな歌が、豊かな会話となってヴァイオリン間で交わされ、豊かで多層的な構造を形成する第1楽章にまず、聴衆は大いに魅了された。

第2楽章に入るとヴィオラに導かれチェロが悠然と歌い出し、山根一仁のヴァイオリン・ソロが、伸びやかな音色で奏でられ、楽曲の親和性を鮮やかに引き継いでいる様子が魅力的であった。

目まぐるしく、しかし密やかに疾走する第3楽章では、随所で交わされる短い会話が織り交ぜられ、心踊る軽快な音楽が展開された。

チェロのトレモロで鮮烈に始まる第4楽章。凝縮された強靭なエネルギーが奏者たちの間を駆け巡り、音の波は炎のように燃え上がる。その響きは胸の奥底を深く揺さぶり、凛とした美しさと圧倒的な力強さに満ちていた。(金井勇)