武生国際音楽祭2023のチケット販売が始まります!

【全国プレイガイド】 ※6月23日より発売開始!
ローソンチケット(Lコード53045)
チケットぴあ(Pコード780-760)
e+(https://eplus.jp/)

【県内プレイガイド】 ※7月1日より発売開始予定!
越前市文化センター 武生楽市 パリオシティ ベル
越前市いまだて芸術館 ヤマモト5 シピィ

今年も、各種のお得な割引チケットをご用意いたします。
・全てのコンサートが聴けるパスポート・・・15,000円(24,000円お得!
・回数券(4,000円券5枚分)・・・15,000円(5,000円お得!
・ペアチケット(メインコンサート2人分)・・・6,000円(2,000円お得!
音楽祭をより深く愉しむために、これらの割引チケットをぜひご利用ください!

【注意】
これらのお得な割引チケットは県内プレイガイドのみでのお取扱となります。

【小中学生・高校生 無料招待のご案内】 
就学年齢の18歳以下の皆様を対象に、武生国際音楽祭2023のメインコンサート(越前市文化センターのコンサート)に無料招待させていただきます。ご入場の際には、7月1日より配布予定の「武生国際音楽祭2023ユースパス」をダウンロードしていただくか、県内プレイガイドにてお求めの上、コンサート当日にご持参ください。

武生国際音楽祭2023プレイベント第1弾を開催します!

タイトル:五感で楽しむ鑑賞会~やってみよう 対話型鑑賞!

日時:2023年6月17日(土)11:00~12:00

会場:越前市文化センター202号室

定員:20名(入場無料)

『キリグ子ども美術館』のメンバーと一緒に、音楽を聴いて感想を語り合う「対話型鑑賞会」を開催します!同じ音楽を聴いていても、感じることは十人十色。他の人の意見を聞くことで、音楽の新しい楽しみ方を体験できます。皆様のご参加をお待ちしています!

パコ・ヤニェス氏の武生国際音楽祭評

 武生国際作曲ワークショップに講師として参加した音楽ジャーナリストのパコ・ヤニェス氏が、スペインのインターネット音楽祭メディア「Scherzo」に武生国際音楽祭2022のレポートを連載しています。スペイン語ですが、翻訳ツールなどを利用してぜひご一読ください。

9月4日オープニングコンサートについて

9月6日アルディッティ弦楽四重奏団コンサートについて

9月8日ソプラノと弦楽の調べコンサートについて

9月9日新しい地平I &細川俊夫と仲間たちコンサートについて

9月10日新しい地平II & III &弦楽四重奏の夕べコンサートについて

9月11日ファイナルコンサートについて

9月11日 音楽祭短評②(金井勇)

 16時に開演したファイナルコンサートはまず、上野由恵のフルート独奏によるドビュッシー『シランクス』で美しく神秘的に幕を開けた。ギリシャ神話の精霊シランクスが牧神パンの強引な求愛から逃れきれず、ついには葦に姿を変えてしまい…という悲しみの果てを題材にした20世紀無伴奏フルート曲の金字塔。 今年の音楽祭の中で上野は2つの初演曲(ソルビアーティ作品の日本初演及び拙作の世界初演)をバスフルート、ピッコロにも持ち替えて秀麗に送り届けたほか、ブーレーズ『ソナチネ』を北村朋幹のピアノとともに鮮烈に魅せた。その締めくくりとしての『シランクス』を、(いささか飛躍するが)二度と戻れぬ姿の象徴と準え、延いては今日このコンサートが二度と帰ってこない「一期一会」の瞬間として受取り、そのような心持で沁み入りながら聴き入った。

 次いでアルディッティ弦楽四重奏団によるクセナキス『テトラス』。古代ギリシャ語で「4」を意味するという『テトラス』では4人の奏者が一つの本体として扱われる。特殊な演奏法で生み出されるノイズが終始鳴り響き、音塊が強烈に揺れ動く。クセナキスは2022年が生誕100年にあたり、それを祝いこの音楽祭でもいくつかの作品が上演された。アルディッティ弦楽四重奏団を特集した9月6日のメインコンサートでは『ST/4』が取り上げられ、緊張漲る演奏で聴衆を感嘆させた。オープニングコンサートに始まり、メインコンサートでの特集、2曲の新作(ガルデッラ、中堀海都)の世界初演、クセナキス『アケア』についての公開リハーサル、またウェーベルンやバルトークを演奏する若い弦楽四重奏団の本番前リハーサルへの立ち会いも行い、連日にわたって精力的に活動する姿は大変印象的であった。

 武生国際音楽祭は3つの柱が共存する稀有な音楽祭ではなかろうか。ピアニスト・伊藤恵がプロデューサーとして率いる西洋クラシック音楽の柱。作曲家・細川俊夫が監督する作曲ワークショップが発信する現代の音楽の柱。そして地元・武生の音楽愛好家が参加する合唱団の柱。プログラムの後半は、この「合唱の柱」が主体となるファイナルコンサート恒例のステージである。そしてこの日のために組織されたその「武生国際音楽祭フェスティバル合唱団」を愛情もって牽引した鈴木優人がJ.S.バッハとヴィヴァルディを、満を持して披露した。

ここに、メインコンサートの弦楽奏者の顔ぶれを中心に、コントラバス、オーボエ、トランペットとチェンバロが編入された武生アンサンブルが共演。  受胎告知を受けた聖母マリアが神を賛美する、ヴィヴァルディ『マニフィカト』では合唱を中心に、ソリストの重唱が織り交ざる。第6曲「飢えた者を満たし」での美しい女声二重唱が印象的であった。

 続くJ.S.バッハ『オーボエとヴァイオリンのための協奏曲』では白井圭のヴァイオリンと荒木奏美のオーボエの対話を最小の編成のアンサンブルが包む。鈴木がチェンバロ奏者としてリードし、四戸香那のコントラバスが深い音でもって音楽に立体感を加えた。

 最後はバッハのカンタータ『心と口と行いと生活で』。受胎告知に続く場面でやがてイエスとへの愛と賛美が溢れゆく。10曲の小品が2部構成でまとめられているが、1~6曲目が第1部、7~10曲目が第2部となる。オープニングとなる第1曲は合唱にトランペット(滝村洋子)加わり高らかに始まり、各独唱を経て、再び合唱。このコラールは『主よ人の望みの喜びよ』の曲名でよく知られている。第2部もテノールから始まる各独唱を経て、最後に再び『主よ~』のコラールが登場し、音楽は静けさの中へと収斂する。

 武生国際音楽祭2022はこの曲の演奏の深い感動と興奮の余韻を残し成功裏に閉幕した。

評者:金井勇(第21回武生国際作曲ワークショップ アシスタント作曲家)
東京音楽大学作曲専攻卒業、同大学院修了。2012年、2015年及び2016年武生国際作曲ワークショップ招待作曲家。「新しい地平」における近作としては『from Being』(スロウィンド木管五重奏団)、『to Becoming』(赤坂智子と大田智美)、『邯鄲の夢』(マルコ・デル・グレコ)等がある。また2019年は鈴木優人補筆校訂版のモーツァルト作曲『レクイエム』の武生版オーケストレーションを行った。

9月11日 音楽祭短評①(金井勇)

 9月11日、武生国際音楽祭最終日。この日はまず午前10時30分開演の「ピアノ名曲コンサート」から。

 音楽祭メインコンサートの顔である3人のピアニスト、伊藤恵、北村朋幹、津田裕也が共演するという贅沢なコンサート。ベートーヴェンやショパンのよく知られた名曲を含む7つの珠玉の作品が演奏された。

 最初に伊藤恵コンサートプロデューサーがベートーヴェンの『エリーゼのために』を愛らしく、そして『ピアノソナタ「悲愴」』を情感豊かに聴かせてくれた。次いで北村朋幹が松村禎三『ギリシャに寄せる2つの子守唄』を幻想的に、リスト『巡礼の年』「エステ荘の噴水」を流麗に。続いて津田裕也がショパンの傑作を3曲。『ノクターン「遺作」』を感傷的に、『子犬ワルツ』を軽やかに、そして『幻想ポロネーズ』を絢爛に。

 さらにこのコンサートの締めくくりとしてラフマニノフ『6手のための2つの小品』が6手、つまり3人のピアニストの連弾で披露された。ラフマニノフが従姉妹の3姉妹のために17~18歳に作曲したという珍しい小曲。中声部を担当する北村を柱に、伊藤プロデューサーが上声部をエレガントに、津田が低声部を深く強く紡ぐ。親密な音の景色がしみじみと心に入りこむ。静かに消えゆく響きはあたかも夏の終わりと重なり合う情感であった。

評者:金井勇(第21回武生国際作曲ワークショップ アシスタント作曲家)
東京音楽大学作曲専攻卒業、同大学院修了。2012年、2015年及び2016年武生国際作曲ワークショップ招待作曲家。「新しい地平」における近作としては『from Being』(スロウィンド木管五重奏団)、『to Becoming』(赤坂智子と大田智美)、『邯鄲の夢』(マルコ・デル・グレコ)等がある。また2019年は鈴木優人補筆校訂版のモーツァルト作曲『レクイエム』の武生版オーケストレーションを行った。